メディアの改善は「精度の高い仮説」があることで、初めて成功する。

  • 更新 | 2018.03.29 公開
メディアの改善は「精度の高い仮説」があることで、初めて成功する。

オウンドメディアを成長させるには、どんなに小さな成果であっても、1つ1つ積み重ねていくことで、確実な成長を手に入れることができます。

成長させるためには、改善を繰り返していく必要があり、改善を行うためには「精度の高い仮説」が大事です。

私が考えているオウンドメディア改善をするための「精度の高い仮説」とは、一体どんなものなのか、お伝えできればと思います。

オウンドメディアにおける「仮説」とは?

オウンドメディアを始めたあなたなら、一度でも以下を考えたことがあるかもしれません。

  • 何をしたらメディアが成長するの?
  • どうやったら効果が出るの?
  • どこを改善すればいいの?

これは、オウンドメディアに限ったことではないですが、何をしたら物事が良くなるのか、全て手探りの状態だというのが、みなさまの現状だと思います。

例えば、オウンドメディアにおいては、

  • ボタンが小さくて見えづらいから大きくした。
  • thanksページの到達率が悪いというデータから、フォームの項目を少なくした。

しかし、これらの改善を実行したとしても、必ず成果となって表れる保証はありません。

このように、感覚的なものや定量的なデータを元に考えたとしても、これら全ては「これをやったら、こうなるのではないか」といった仮説にすぎません。

どんなに有能な人であっても「これをやれば必ず100倍の成果が出ます」ということは言えないのと、時代や状況によっては以前成功したものでも、今回同じようにやったとしても効果がない事もあります。

まず仮説とは「失敗の可能性がある」という事を認識しておく必要があります。

仮説の精度が高いほど効果が高くなる?

オウンドメディアに何をしたら改善できるのか、改善策を考える前にしっかりした仮説を立てる必要があります。

仮説は仮説でも、精度の低い仮説を立てても意味がなく、成果を最大限得るためには精度の高い仮説が必要となります。

仮説の精度の違いが分かるように、以下の表で「利用者にボタンをクリックしてもらえない」という状況を改善するための、施策を考える前の仮説の例を見てみましょう。

精度仮説検証
低いボタンが小さくて、押せることが分かりづらい状態となっているため、クリックされずに見逃されているのではないか。ボタンを大きくする。
高いボタンの上下に配置している内容が繋がっているため、その中間でボタンがあっても、クリックされず下のコンテンツへ進んでしまっているため、クリックがされていないのではないか。ボタンの配置を変更する。

仮説精度が低いものは、ボタンのみにフォーカスされたことで、ボタンの見た目の改善に進んでしまっています。

しかし、仮説精度の高いものは、ボタンだけでなくコンテンツや周りの状況や、訪れてくれている生活者を理解した上での施策となっています。

どちらも仮説なので、成果が確実に出るとは言えませんが、後者の方は1つだけではなく複合的な情報を元に仮説を立ているので、仮説の精度の角度が高くなっています。

1つだけに固執してしまうと、その他の可能性を潰している事にも繋がり、仮説立てにおいては可能性を1つでも増やすため、複合的な情報が非常に重要です。

そのため、仮説を立てるには複合的な情報を集めることから始めるのがお勧めです。

精度の高い仮説はすぐに立てられない?仮説立てには時間がかかる

精度の高い仮説は簡単に生み出すことは難しく、事前に色々な情報が必要となります。

  • オウンドメディアへ訪れてくれる生活者への理解
  • オウンドメディアがテーマにしている情報
  • オウンドメディア内の変化を把握

これらの情報はすぐに入手するのも難しいですし、あなたの知識として定着させるのにも時間がかかります。

特に、あなたのオウンドメディアに、訪れてくれている生活者への理解を深めないことには、どんな仮説も「霧の中、何も見えずに手探りで歩いている」ようなもので、仮説を立てるのがとても難しい状態となってしまいます。

仮説は、目の前で起こっている情報やデータだけでなく、時間の流れや生活者の性格・ライフスタイルまで踏み込んだ情報なども必要。

生活者への理解・オウンドメディアがテーマにしている情報・変化など、様々な情報をあなたの中の暗黙知として蓄えていく必要があると思っています。

これらの情報を総合的に集めておくことで、仮説が立てていけます。

暗黙知とは経験や勘に基づく知識のことで、個人はこれを言葉にされていない状態でもっている事。

成果・結果ばかり見てしまっていると仮説力が低くなる?

「PVが1000以上も上がった!」
「コンバージョンが10倍にもなった!」

このような成果や結果だけを見て仮説を立てようとすると、仮説力が低くなる傾向があると私は考えています。

成果や結果はもちろん大切ですが、オウンドメディアの成長に欠かせない仮説立てでは、成果・結果が出た過程と、それらに関連する複合的な情報が大事になってきます。

成果と結果ばかりを見ていると、思考が固まってしまったり、成果・結果といったものだけが正義だと感じてしまい、失敗を許せなくなります。

仮説とはそもそも不安定なものなので、実際に検証してみないと成功するか失敗するか、判断が付きにくいもの。

この考え方を念頭において、仮説を立てていくのが、仮説力を高めていく方法にもなります。

Googleの検索に出てくる仮説は、使えない場合がある?

仮説を立てる際、Googleなど検索エンジンの検索結果に出てきてしまうものは、すでに古い仮説となってしまっている可能性があります。

古い仮説というのは、生活者の動向や思考は日々変わっており、以前の生活者を想定した仮説となっている、もしくは現在の生活者に合っていないものを指します。

または、仮説を書いてくれている方とあなたのオウンドメディアの種類がそもそも違うので、同じような仮説が当てはまらない場合もあります。

Googleなど検索エンジンに出てきた仮説は、あなたのオウンドメディアに対しては使えないこともあるため、気を付ける必要があります。

仮説を立てる際は、あなたのオウンドメディアだけに合った仮説を立てないと、せっかく色々な情報を集めたりしたとしても、無駄に終わってしまう事もあります。

Googleさんには頼らず、仮説を立てていくクセを付けましょう。

私がやっている仮説の立て方

私がやっている仮説の立て方

私が仮説を立てる際には、いつもフィッシュボーン・ロジックツリーといったフレームワークなどを使って、思考をまとめています。

コンテンツを作る際に使っている方法を、仮説を立てるのにも活用しています。

一見必要そうではない情報も、元をたどれば重要なポイントだったりもしますので、全ての情報は繋がっているという意識を持っておくのが大切になってきます。

それでは、実際に仮説立ての一例を見てもらえればと思います。

仮説を立てるために

仮説の立て方として、コンバージョン改善を例にしてみたいと思います。

サービス建築会社の新築を買う前の相談サービスを展開しているオウンドメディア。CMSを利用してコンテンツマーケティングも行っている。月間4~5本の記事を投下。
目的相談をもらって、自社の受注に繋げる動きがしたい。
目標月間20件の相談依頼で、成約5件。
期間立ち上げて1年。
課題オウンドメディアへの集客は出来ているが、相談依頼が増えない。
状況対策キーワードのコンテンツは検索上位に表示され、CTR(クリック率)も高く多くの訪問者に見てもらっているが、コンバージョン設定しているフォームへの動線への流入が少なくコンバージョンも低い。
対策キーワードのページ新築 相場
ターゲット新築を買う意識が芽生える30~40代の若い夫婦をターゲット。
データ【月間】
PV:10000
CV:3件
成約:0件
滞在時間:平均4分
直帰率:70%
離脱率:70%

仮説の立て方

仮説を立てていくために、1つ1つステップを踏んで考えてみたいと思います。

しかし、私が行っている方法は正解かはわからないため、1つの方法として「こういう考え方もあるんだなあ」と、あなたに覚えてもらえれば嬉しいです。

STEP01:改めてターゲットとしている生活者を意識する

改善の初めは、データを解析するのでもなく、コンテンツの内容に手を加えるのでもなく、デザインを変更するのでもなく、まずは検索してくれている生活者の事を、改めて考え直します。

対策キーワード事にペルソナを設定している場合はペルソナを。

ペルソナがない場合は、生活者のことを改めて考えるために、「なぜこのキーワードを検索してくれているのか」といった、生活者がどういう考えを持っているのか・ライフスタイルはどうなのか・生活者のリアルを想像しなおします。

あなた自身で生活者をリアルに感じるために、以下のものを用意してみましょう。

  • 生活者のお悩みや不安
  • 生活者の期待や解決したいこと
  • 生活者が対策キーワードを検索してくれている状況
  • 生活者のライフスタイル

全ての仮説は「生活者」を起点にして生まれるため、後々仮説の軸がぶれないようにするためにも、生活者への深い理解をする事から改めて考えていくことで、あなた自身で生活者思考・目線を手に入れて、生活者の実態を常に意識できるような状態にしてみてください。

STEP02:生活者のリアルを改めてまとめる

あなたの中で、運営してきた中で得た情報によって、ターゲットとしている生活者像ができあがっているのであれば、書き出す必要はないですが、チームなど1人ではない場合は、共有できるように書き出しておくのがお勧めです。

オウンドメディアを運営する最初のころは、全て仮説で「これなら良い結果がでると思う」で進めてきたものであるため、現在コンバージョンの獲得ができていないという状況は、最初に立てていた仮説が間違っているということも示しています。

最初に想定してた事と、運営して実際の生活者へのアンケートや声などを聞いて、どれぐらい違う結果になるのかを比較するといいかもしれません。

最初は運営で得た生活者の情報などのまとめから入り、それからアクセス解析など定量的なデータなども含めて考えていき、生活者について分かっていることを全て書き出してみましょう。

生活者のお悩みや不安【運営前】
新築がほしいけど、費用がいくら掛かるかわからない。相場も分からない。

【運営後】
新築がほしくて、費用も相場も分からないから困ってはいるけど、お金が高いイメージがあるからなかなか積極的にはいけない。
生活者の期待や解決したいこと【運営前】
費用や相場が分かれば、そのまま相談をしたい。

【運営後】
費用も高いので、いきなり相談といったことはハードルが高い。軽く話しができたり、他の人は費用をどう考えていたり、どうやって今後のお金のやりくりしようとしているのか、こういった事も知りたい。
生活者が対策キーワードを検索してくれている状況【運営前】
通勤中やスキマ時間に検索キーワードを入力し見ている。スマートフォンのみの閲覧。

【運営後】
通勤中やスキマ時間に検索キーワードを入力し見たあとに、家に帰ってからも改めて夫婦そろって該当のページを見ながら費用に関して話し合っている。外ではスマートフォン、家ではデスクトップでの閲覧。
生活者のライフスタイル【運営前】
夫婦共働きで仕事で忙しく過ごしている。外食は控えて毎月の貯金もしている。休日は遊びに出かけたり日頃溜まったストレスを発散している。

【運営後】
夫婦共働きで仕事も夜遅くに帰ってきている。夫婦共に貯金の考えがあまりなく、貯金をしてたとしても年間10万円程度。休日に平日できなかったことをまとめてやったり、新築に関しての情報収集をデスクトップで行っている。
STEP03:仮説のズレ・間違いに気づく

STEP02で生活者のことを改めて考えてみると、当初考えていた生活者像と実際の生活者像のズレが色々見えてきます。

  • コンテンツを見たらすぐに相談してくれると仮説を立てていただがそうではない。
  • スマートフォンだけで見ていると仮説を立てていただがそうではない。
  • 平日のみ閲覧していると仮説を立てていただがそうではない。

このように、当初仮説としていた考えは、運用によって実際の生活者を知った事により、仮説のズレや間違いに気づくことができます。

仮説のズレや間違いを見つけて、ズレや間違いの部分を元に、新しい仮説を立てていきます。

STEP04:新しく改善のための仮説を立てる

改めて生活者像を作り直し、それらを元に改善施策のための仮説を立ててみます。

今回、目標として「月間20件の相談依頼で、成約5件。」というものを立てており、まず月間の相談依頼を引き上げるための施策の仮説を立ててみます。

必ず目的や目標に対してインパクトがある優先度の高い部分から施策を行っていくことで、目的や目標にそった改善を行えるようになります。

以下に目標を達成するための改善を考えてみたいと思います。

困ってはいるがいきなりの相談は不安が高い

  • 「相談申込」という言葉が不安を強める原因になっている?
    • 「相談申込」ではなく「聞いてみる」にしてみようかな
      • ボタンのテキストを変更してみる
               

このように、運用後の生活者像を元に新しい仮説を立ててみましょう。

出るところまで出た最終的な仮説が、実際に行われる改善施策にもなるので、1つ1つを深掘りしていき「なぜ?」を数度繰り返して出すことで、表面的な仮説にならないようにするのがいいと思います。

STEP05:仮説が間違っていても悪くはない

運営前の仮説は間違っていて当然といえる結果でもあります。

仮説が間違っていたことに対して「悪い」「失敗だ」といった評価をするのではなく、いかに早く仮説のズレや間違いに気付いて修正できるかが大事。

早く試して早く失敗するほど、成功に一歩一歩近づいていけると思いますので、どんどん仮説を立ててみましょう。

メディアの改善策には答えがない。だからこそ考え抜く体力が必要です。

「他社のオウンドメディアでは、◯◯をやったら効果があったって!」
「Googleで調べたら◯◯を◯◯にするだけで2倍になるって書いてあった。」

このように、仮説を考える前に実際に行われた施策ばかりに目が行ってしまう場合もありますが、なぜその施策を行ったのかが分からない状態で進めても、あなたの仮説力やスキルも上がらないし、効果も説明できなくなります。

また、他のオウンドメディアとあなたのオウンドメディアでは、ターゲットもデザインもブランドも何もかもが違うため、他が成功した施策があなたのオウンドメディアに合わないことの方が多いです。

オウンドメディアの改善を行う前に立てられる仮説には、答えがないため不安になってしまうかと思います。(私もそうなので…。)

しかし、仮説を立てるということは生活者を理解すると事を同じ意味になるので、必然的に生活者を理解すればするほど、効果が出る改善案も出せるようになります。

「仮説を立てる」と思ってしまうと難しく感じられるかもしれませんが、生活者を知るための行為だと思ってもらえると良いかもしれません。

生活者を知ることが仮説を立てることにも繋がるため、ぜひあなたにも生活者を深く知る機会を作ってもらえれば嬉しいです。