
オウンドメディアを運営するならば、コンバージョン(目標)設定は必須ですね。
目的・目標をどのくらい達成できたかの指標とするため、コンバージョンの計測が大事ですが、あなたは現在コンバージョンの獲得数に伸び悩んだりしていませんか?
コンバージョンに対しての認識がちょっと違うだけで獲得数は10倍以上にもできるので、私と一緒に必要な情報を見ていければと思います。
※この記事は、管理人が仕事で制作・運用・改善をしているオウンドメディアの体験談を元に書いています。あなたが知っている知識とは別の事が書いてあるかもしれませんが、何卒ご容赦ください。
コンバージョンとは?
まず始めに、コンバージョンについての、あなたの認識を確認してみましょう。
コンバージョンとは…
- お問い合わせ数である
- お申し込み数である
- 購入行動である
- 広告のクリック数である
- 週に5度の訪問をしたユーザー数である
この5つの中にコンバージョンはありましたか?
もしあると思った方はコンバージョンについて知っている方だと思います。
しかし、「ん?なんか足りない?」「違くない?」こう思った方もコンバージョンについて知っている方だと思います。
コンバージョンの定義はそもそも、人によって異なったり、オウンドメディアの方針やビジネスモデルでも違うので、この5つでも合っていると思いますし、足りない・他にもあると思った方も合っていると思います。
そのため、私がコンバージョンを10倍以上にも引き上げた際に、コンバージョンとはどのようなものなのかと定義した内容を、以下に書きたいと思います。
コンバージョンとは生活者の期待の現れである
私がオウンドメディアの制作・運営・改善を経てコンバージョンについて思ったのが以下。
「コンバージョンは生活者の期待の現れである」
コンバージョンと呼んでしまうと忘れがちになってしまうのですが、コンバージョンとして設定されているボタンや生活者の行動には、生活者が自分自身の不安・悩みが解決できると思って、コンバージョンとして設定している行動を起こしてくれています。
つまり、コンバージョンはオウンドメディアへの「期待」が起こさせている行動だと考えるように私自身なりました。
この考えを元にして、コンバージョン獲得=生活者の期待の獲得を得るための施策や改善を行う事で以下を達成。
日付 | コンバージョン数 |
---|---|
2016年10月 | 5件 |
2017年10月 | 318件 |
中間コンバージョンを含めての318件(一年間で約60倍)ですが、色々な施策を試しました…。
また、PVも6,601から一年間で156,268へと変化させたメディアだったので、より多くの生活者の訪問に成功した事も要因だと思っています。
私がコンバージョンで取り組んだ際の考え方や施策などを紹介できればと思います。
まず始めに知っておきたいのはコンバージョン行動はUXの一部だということ
まずコンバージョン改善に取り組む前に、コンバージョンはあなたのオウンドメディアのUXの一部であると考えてもらいたいと思っています。
コンバージョン?UX?といきなり結び付きにくい言葉を掛け合わせてしまいましたが、オウンドメディアのUXとコンバージョンには密接な関係があります。
先ほど私が定義した「コンバージョンは生活者の期待の現れである」といった事は、そもそもUXの向上や改善を意味するものでもあるんです。
コンバージョン部分のみの改善 | EFO(エントリーフォーム最適化)など、部分的に注力した考え方でミクロ視点。 |
---|---|
コンバージョンをUXの一部として考えた改善 | オウンドメディア全体で得られる体験・経験に対した考え方でマクロ視点。 |
コンバージョン部分に対してのみ考えを集中させた場合、どうしても使い勝手や分かりやすさなどに対して意識がされやすく、ダメではないのですが、生活者はコンバージョン行動を起こす部分だけを見てきているのではないため、この考え方では生活者の期待を得られません。
コンバージョンをUXの一部として考えた際は、あなたが設定したコンバージョンは生活者にとって自分自身の問題解決の途中経過にすぎないため、生活者がコンバージョン前後に起こすであろう行動や気持ちの変化を考えた施策を取り入れる事で、より多くのコンバージョンを獲得する事ができるようになります。
手間をかけなきゃコンバージョンはもらえない?
コンバージョンは言わば、生活者が期待や満足をしてくれた結果の対価であるので、期待・満足が無ければコンバージョンはもらえません。
コンバージョンを獲得したい気持ちがあると、いかに楽して獲得するかと言った思考になったり、「効率化」といった言葉が出てきやすかったりしますが、実際にコンバージョン行動を起こしてくれる人を考えてみてください。
例えば初めての洋服屋さんに入って、店員さんにいきなり「この服は1万円ですが買ってください」と言われても誰も買うわけがありません。
これと同じで、コンバージョンだっていきなり「フォーム送信してください」と言っても、誰も送信してくれるはずがありません。
コンバージョンの獲得には、生活者に期待をしてもらう、期待をしてもらうにはその前に、コンテンツの内容や全体を通してのUXで満足をしてもらう事が必須です。
つまり、コンバージョンを獲得したいなら、部分的なコンバージョンではなく、コンテンツの内容とオウンドメディア全体が提供できるUXの向上から考えなくてはいけません。
UXについては「メディアのUIとUXは切っても切れない関係、生活者思考のデザインが必要。」を見ていただき、コンテンツについては「ターゲットの心を掴んで離さないコンテンツを作る、たった3つの方法」を合わせて見てほしいです。
それでは、次からは実際にコンバージョン獲得のための施策のお話をしていければと思います。
コンバージョン獲得を考えるには、あなたが生活者思考になる必要がある
オウンドメディアを運営している側だと忘れがちになってしまいますが、今実際にあなたのオウンドメディアを訪れている生活者の状況・状態になって、物事の見方をしなければいけません。
生活者の状況・状態になってみると、以下のことを感じるはずです。
「知りたい事だけを知り、見たいものだけを見る。」
「知りたくない事は知りたくない、見たくないものは見ない。」
その時は、頭の中=意識に「ニキビ」「直し方」が置かれている状態なので、「ニキビ」「直し方」に関連する情報のみが見つけやすくなっています。
しかし、「ニキビ 直し方」と検索してきた生活者に対して、飛行機やその他関係ない事をコンテンツを入れたとしても、全く見向きもされません。
これはカクテルパーティー効果と言って、騒音の中でも自分に関係のあることだけはすぐにキャッチできるような、人間の仕組みです。
オウンドメディアにおいてもこの人間の仕組みが働いているので、生活者の意識している部分を把握し、それに合ったコンテンツを用意し、コンバージョンへと繋げていく必要があります。
生活者の関係ないものは全てノイズになる事を覚えてほしいと思います。
コンバージョンでは生活者が行動を起こした経緯が重要?
コンバージョンを改善するためには、生活者の期待に応える必要があり、生活者が本当に欲しい情報や悩みが解決できる事を提示してあげなければいけません。
そのためには、生活者が行動を起こした経緯を探り、経緯の根本となる生活者の気持ち・感情について深く知る事が大切です。
例として以下のような状況の場合のコンバージョンについて考えてみたいと思います。
生活者が行動を起こした経緯を探る
- コンバージョン:商品ページへの誘導
- キーワード:ニキビ 直し方
このキーワードで訪問してくれた生活者にコンバージョン行動を起こしてもらうには、生活者の根本的な感情・悩みなどを知る必要があるので、なぜ「ニキビ 直し方」と打ち込まれたのかを考えてみましょう。
STEP1
ニキビ 直し方のキーワードが打ち込まれた理由は? | ・ニキビが出来てしまったので直したい ・今まで行なっている方法だと治らないので新しい方法を探してる ・ニキビが直せるグッズを探してる |
---|
「ニキビ 直し方」と打ち込んだ生活者は、このような状況になっている事が考えられます。
さらに、なぜニキビを直したいのかを考えてみます。
STEP2
さらに考えてみる | ・顔に自信がない。 ・ニキビが出来てしまう事がコンプレックスになっている。 ・ニキビがあると人前に出られない。 |
---|
さらに考えてみると、このような事が考えられます。
最後にもう一度考えてみます。
STEP3
最後にもう一度考えてみる | ・ニキビが出来た時に友達にジロジロ見られた嫌だった ・鏡をみるたびに自分が嫌になっていく ・ニキビ顔で笑われた |
---|
このように、コンバージョンを考えるという事は、生活者のリアルを探っていき、生活者の事を深く知っていく行為でもあります。
生活者のリアルがコンバージョン獲得にはとても大切になってくるため、最低3回は「なぜ?」を繰り返して生活者の行動の奥底を探ってみましょう。
生活者のリアルを感じてもらった次は、コンバージョン改善に対して細かい施策を付け加えていきますので、以下を見てみましょう。
コンバージョンの改善には言葉が重要
コンバージョンを改善するためには、どのような方法がいいのでしょうか。
- 電話番号を大きく載せる
- フォームの項目を少なくする
こう言った単純な施策でも効果が上がったりしますが、このようなテクニックだけに捕らわれてはいけません。
これらはあくまでも使い勝手などUIの部分にフォーカスした改善だけなので、生活者の事を考えた本来の改善が行えていません。
私が体験した中で一番のコンバージョン改善が出来たのは、「言葉」の変更です。
例えば、AIサービスのマッチングサイトのコンバージョンの言葉で見てみましょう。
コンバージョンに最適な言葉選び
- AIサービスへのお申込みはこちら
- AIサービスをお選びの方はこちら
「お申込み」と「お選びの方」といった部分だけが違いますが、これがかなりの差が出ます。
お申込みという言葉では以下のような感情を抱きやすいです。
お申込み | ・申し込んだら何か悪い物を買わされるのではないか ・本当に申し込んで大丈夫なのか ・信頼できるサイトなのか |
---|
このように、不安を呼び起こす感情が生まれてきやすいです。
しかし、「お選びの方」とすると、こういった不安が和らぐのと、生活者的には申込みという感覚ではなく、使えるAIサービスを選ぶ事が目的で利用しているため、生活者との行動ともマッチした言葉になっています。
生活者に対して、心理的なストレスを感じさせる言葉を使用するのではなく、決定的な行動の前に行う行動を言葉にしてあげたり、生活者の気持ちを配慮した言葉選びがとても重要です。
生活者への配慮を行い、コンバージョンが自然に行えるようなUX・UIを考えてあげる事で、コンバージョンの改善を行う事ができるようになります。
実際にコンバージョンを改善するにはどんな施策をすればいいの?
コンバージョンを改善するために、実際どんな施策を打てばいいのか。
オウンドメディアごとでターゲット・方針・目標なども違うので、オウンドメディアごとで施策の内容を考えないといけないのですが、今回は私が実際に行なった施策で効果があるものを説明できればと思います。
- 生活者が求めている事だけを載せる
- コンバージョン経路を生活者のニーズごとに複数用意する
- 生活者が考えている時期によって変える
生活者が求めている事だけを載せる
生活者は「知りたい事だけを知り、見たいものだけを見る」という特徴があることをお伝えしていましたが、その事を考えると、生活者に必要のないものをコンバージョン用のページで使ってしまうと、必要のないもの全てが不要なノイズとなってしまう事が考えられます。
例えば、Aさんが何かしらのサービス加入を検討している際、サービス加入前に情報が欲しいと思って資料の請求を目的に、資料請求ができるフォームのページへ入ったとします。
しかし、そのフォームの中では申込み・無料相談・資料請求といった3つの要件に応えられるフォームとなっていましたが、Aさんが期待してたのは資料請求だけの情報です。
申込み・無料相談といった言葉を見て、Aさんの思っている・考えている気持ちとは違う内容が入っていた事で、資料請求をする気すら無くなってしまうかもしれません。
また、何か売りつけられるのではないか、そういった心理的ストレスも与えてしまう事で、資料請求を止めてしまう事も考えられます。
何を言いたいかというと、生活者が求めているもの以外の情報が載っていると、それだけでコンバージョンが下がるという事です。
1点集中だから伝える内容が強くなる
申込み・無料相談・資料請求など、複数の要件を詰め込んだフォームにした事で、伝えたい内容の解像度がぼやけてしまい、訪れてくれた生活者に訴求する事ができなくなります。
「みんなのためのフォーム」より「一人のためのフォーム」にした方が伝えたい内容も絞る事ができ、生活者の欲しい情報だけを載せたコンバージョン用のフォームにする事ができます。
オウンドメディアの制作・運営側に回ると、生活者をみんな同じように考えてしまいますが、生活者一人一人違う人生を送っていて、一人一人が複雑な感情を抱いています。
強いコンバージョン用のフォームにするためには、一人一人に合った内容にしてあげる事が、確実に振り向かせるための施策になります。
一人一人に合った内容にできない場合は、もう少し大きなカテゴリーに分けて複数のコンバージョン用のページを作るのがオススメです。
コンバージョン経路を生活者のニーズごとに複数用意する
コンバージョン用のフォームは一つだけがいいと思っていませんか?
私も最初はそう思っていましたが、生活者の想いに応えていくためには、オウンドメディア内に一つだけでは足りない事に気がつきました。
生活者といっても求めている事がそれぞれ違うため、ニーズ別にフォームを用意した方が生活者の気持ちや期待にも応えられると思ったのがきっかけです。
以下に、web制作会社のマッチングサービスをしているメディアを例に書いてみます。
ニーズ | 詳細 |
---|---|
大体の金額が知りたい | 頼んだ場合、どのくらいの金額になるかが分かればいい。 |
信頼できる会社が知りたい | 信頼できる会社が分かればいい。 |
メディアの担当者に相談したい | どこがいいかわからないから、一旦相談をしたい。 |
選んで申込みをしたい | すでに決めた会社がいて、そこにweb制作を頼みたい。 |
このように、web制作のマッチングサービスを展開している会社のメディアに訪れる生活者が、これらの悩みを持っているとします。
もしこれらのニーズがあるのにも関わらず、全て同じフォームで解決させようとするには、無理がある事が分かります。
そのため、この場合であれば4つのニーズ別に、コンバージョン用のページを用意して、生活者が「〜知りたい」「〜したい」といった気持ちが発生した際にコンバージョン用のページへのボタンをつけて誘導してあげる。
ニーズ別にフォームを用意するのは面倒な事もありますが、生活者のためにしっかりと手間を惜しまず用意してあげる事で、コンバージョンの改善をする事ができるようになります。
生活者が考えている時期によって変える
生活者が何かしらのサービスに加入を検討している場合など、生活者自身が考えている加入時期があります。
時期の違い | |
---|---|
今すぐ | なるべく早め |
ゆっくり | 一年くらい先 |
例として上記の4つに分けて見ましたが、今すぐどうにかしたい人、一年先や時期が後の人など、生活者ごとで考えている事は違ってきます。
コンバージョンを得やすいのは「今すぐ」に何かしらの行動を起こしたい生活者ですが、「今すぐ」時期の生活者たちだけの想いに応えていると、「今すぐ」以外の将来的な見込みがある生活者たちを、逃してしまう事に繋がります。
そのため、生活者が考えている時期によっても対応を変える必要が出てきます。
例として、転職サービスを展開しているメディアの場合を書いてみます。
時期が違うのに同じアプローチは意味がない
「今すぐ」「なるべく早め」であれば、コンバージョンが得やすいのですが、「ゆっくり」「一年くらい先」といった生活者に、「今すぐ」「なるべく早め」の生活者と同じようなアプローチをしても、全く効果は出ません。
時期が早い生活者と、時期が遅い生活者に分けての対応が必要です。
特に、時期が遅い生活者に対しては、生活者の考えではまだ行動を起こす気持ちが小さいですが、その気持ちを大きくしてあげて、意識の優先度を一段階を引き上げてあげる施策が効果的です。
時期が遅い生活者には意識の優先度を高める施策を打つ
時期が遅い生活者に対しては、生活者の状況にあったコンバージョンを得る施策を行って、一旦中間コンバージョンの獲得を目指します。
例えば、転職サービスの場合でいうと、転職はまだしないけど転職サイトへの登録を促してあげて、一旦登録とメールアドレスなどを頂きます。
登録後に見れるサンクスページやMYページで、転職を行なった方がいい情報などを伝えてあげて、転職活動を行なってもらうきっかけ作りや、転職の素晴らしさを伝えてあげて、生活者の中の「転職」という意識の優先度を一段階引き上げてあげます。
生活者の中の「転職」といった意識の優先度が高まる事で、転職に関しての情報をキャッチしやすくなり、自然と転職へ向けての行動を促す事ができるようになります。
このように、時期が関わるサービスにおいては、生活者の意識の優先度を高める施策を行う事で、さらなるコンバージョンが生まれるようになります。
時期が早い生活者と、時期が遅い生活者に真摯に対応していく事で、コンバージョンの改善ができるようになります。
時期が違ければ使われる言葉も変えなくてはいけない
時期が違ければ、生活者に向けて使われる言葉も、当然変わってきます。
「ゆっくり」の生活者に対して、「今すぐ応募してもらえると、面接が確約できます!」と言ってもあまり生活者の心には響きません。
このように、時期が違ければ言葉も変わり、アプローチの方法やタイミングも変わってくる事を、あなたに覚えてもらいたいです。
コンバージョンの改善には「おもてなし」の精神が必要。
コンバージョンの改善をするためには、生活者の事をどこまで深く知る事ができるかが、とても重要となってきます。
ターゲット・ユーザー・コンバージョンなどと言った言葉を使っていると、生活者の事をリアルに感じる事ができなくなるので、生活者のことが分からない状態で改善が進み、結局は失敗してしまう事にも繋がります。
生活者ごとの想いに応えるからこそ、生活者の期待が生まれ、それがコンバージョンへと変わるため、手間を惜しまず生活者の悩みとどこまで真摯に向き合っていけるかが大切です。
私はオウンドメディアでは、どんな形のコンバージョンでもいいと思っており、どこまで「おもてなし」の精神を出せるかがカギだと感じています。
生活者の状況に応じて最適なコンバージョン経路を考えてあげる。
コンバージョンの改善には、生活者思考を手に入れるのが必要な事を、あなたにも覚えてもらえれば嬉しいです。