上司に退職(転職・転社)を言い出したいけど、言ったらどう思われるんだろう…。
今までよくしてもらったり、世話になっていると、言い出すのも気が引けますよね。
それでも前を向いているあなたは、言い出さないといけないのですが、それを受け取った時の上司の気持ち・ホンネがどうなのか分かっておくと言いやすいかもしれません。
下記では、メンバーの退職に立ち会ってきた側からの気持ちを包み隠さず書いてみたいと思います。著者:osugi
「辞める」と言い出した時、上司はどう思うのか?
会社に勤めていれば、辞めていくメンバーを見送るのも、自分が去るのも経験するはず。
それを繰り返していると、前任の担当者が辞めて自分に役職が与えられたり、転職・転社によるキャリアアップで新たな会社に入ると、期待値の高さにより最初から部下を持たされる場合もあると思います。
私は幸運にも残っていたおかげで役職をもらえて、新たに何人かのメンバーを導く立場にもなりました。
しかし、ずっと同じメンバーで働き続けたいと思っても、個々それぞれで目標も違えば、生活環境や状況も違うので、いつかは去ってしまうことは避けられません。
「辞める」と言い出された時、どんな気持ちだったのか、振り返って書いてみます。
建前1:引き留めずに部下の決断を尊重する
一緒にこれからもやっていきたいメンバーだとしても、引き留めていいのか考えます。
辞める理由はさまざまですが、仕事内容がミスマッチしていたこともあれば、実家に帰らないといけないなど、上司側が受け入れないとメンバーが先に進めないことも多かったので、そんな場合は引き留めはせず、今後の残り時間を一緒にどう過ごせるかへ考えをシフトさせていく。
ホンネ
せっかく望んで一緒になれたメンバー、求めて入社してくれたメンバーと離れたくないと思うのは、上司役をしている方はみんな同じなのかと思っています。
しかし、ホンネを言えば、駄々をこねてでも辞めることを考え直してもらいたいのですが、本当にそれで相手は幸せになるのか?と。
そのためまずは、辞める原因や気持ちをヒアリングしてから、どうしたらメンバーのためになるのか考える。
辞めるにしても大きく分けて状況が二つで、
①辞めます :すでに他社へ決まっている、または揺るぎない意思がある
②辞めたいです:困っていることが解決できないので辞める選択肢しかない
①の場合は、素直にそのまま退職で進めますが、②の場合であればメンバーからのSOSでもあり、解決できる問題であれば全力で解決していく。
もう限界…など一刻の猶予もないと、待てずに「辞めたい」から「辞める」に変わる方もいるので、どれだけ原因解決を早められるかにかかっている。(解決まで時間がかかったりするので)
そんな状態まで我慢させてしまった反省はしつつも、絶対に必要なメンバーのためなら、動いていく。
ここで、①と②のどちらの状況であっても、引き留めすらしないのであれば、その上司にとっては不要な人材であったと考えてもいいかもしれません。
建前2:強制的に気持ちを切り替え前を向く
本気でこれからも…と考えていたメンバーなので、体制も考え直さないといけないため、色々とやることが増えて気持ちも思考も一旦リフレッシュしなければいかず、強制的に切り替えて前を向いていきます。
悲しんでもいられませんし、これからも残ってやってくれる他メンバーのためには、上司は表に不安などもみせず前を向き動き出すのかなと思います。
ホンネ
ホンネを言えば不安しかありません。
誰かが辞めるとは、そんな単純なことではなく、同じメンバーはもちろんのこと、会社全体にも「あの人が辞めちゃうの!?この会社ヤバいかも」と、一気に不安も広がっていく。
辞めたからまた人員は補充すればいい、また採用すればいいよね?ともいかないのも、年々採用が難しくなっているため、1人辞めてしまうとすぐにその穴を埋めることはできず、現場の負担が大きくなっていきます。
大企業など人材が潤沢であればいいですが、中小企業などはどこも人手不足を抱えた状態なので、1人の退職が本気で死活問題なのです。
つまり上司は不安しかないってこと…。
建前3:周りに弱い姿は見せられないから気丈に振舞う
たとえチームの中核メンバーが辞めても、事業としてはそのまま変わりなく継続していく必要があります。
しかし、1人の退職で、現場の負荷が増えたり混乱が発生して、お客様に迷惑をかけてしまう場合もある。
そんな時でも上司役は、毅然とした態度で現場の混乱を収めて、改めて組織構築を済ませて、以前と変わらない、または以前よりもいい状態にしようと奮い立とうとします。
ホンネ
ホンネを言えば、自分も辞めたいと思ってしまう…。
弱音を聞いてほしい、このプレッシャーから逃げたい、もっと楽な仕事にしたいなど、弱音のオンパレードです、本当は。
部下が辞めるのと一緒で、上司だってこのまま会社に残っていいのか、改めて考えるキッカケにもなっています。
部下の退職と上司の退職は、密接に繋がっており、上司も同じように考えていることは、まず間違いない。
部下が辞めていくのを見るのは辛さしかない
辞めようと思った方は、辞めることがもっとも自分の中の意識を占めるので、どうやって辞めるのか、辞めるまでは何をすればいいのかに、一番思考を使っていきます。
行動も変化して、ランチや飲みに誘っても行ってくれなくなったり、定時になったらすぐに帰ってしまう。
上司としては、会社から気持ちが離れたことを見せつけられているため、すごく辛さしかないっていうのが正直な話としてあります。
それでも今まで頑張ってくれた分、次の会社での活躍を期待したいと思いながら、矛盾した気持ちを抱えたまま上司は、最終出社日までを過ごしていきます。
最後に。
部下に「辞める」と言われたあと上司の中で起こることは、葛藤と不安の2つです。
- 辞めてほしくないけど辞める決断をした部下を尊重したい
- 部下が辞める原因になっていた場合は心底落ち込む
- マイナスイベントにネガティブが加わってさらに気持ちが落ち込む
思っている以上に、上司役の人にはダメージが入っています。
それでも、残ったものとして、今以上に頑張っていく必要があるため、上司は精神的にもタフでないと務まらないなと常々感じていたりします。