Twitterなどソーシャルメディアでは、日夜誰かが言った発言が切り取られて、炎上騒ぎが起こっていますよね。
「また◯◯系垢のツイートで炎上したらしいよ。」
良い悪い関係なく、炎上を起こしたアカウントのその後は、何をしても注目が集まってしまう。
個人・法人問わず、SNSのアカウント運用は一般的になっていますが、なぜ炎上が継続して発生してしまうのか、理由をまとめてみました。
SNSを運用するなら、改めて考えておきたいこと。著者:osugi(@osuuuugi)
Twitterではなぜ、炎上が起きてしまうのか?
「誰かがこう言った。」
「あの人がこんな事言ってる。」
自分ではなく、他人の動向が気になるのが人間の性というもので、自分が気になる人や考え方については、情報が入ってきやすいようになっています。
その逆で、自分がまったく興味のないことは、意識もせず、たとえ目の前にあったとしても拾えません。
すごく不思議ですよね…こんなにも情報が出回っている世の中で、情報の取捨選択が無意識に行われています。
しかし、毎日大量の情報があるため、むしろ必要ない情報も全部拾っていては、人間の記憶領域がパンクしてしまう。
人間に備わっている本能?システム的な部分で、意識している必要な情報だけが入ってくるのが基本です。
求める情報だけが入ってくる
日常で得られる全部の情報は受け止めきれない、むしろ全部受け止めようとしたら、本当に大事な情報が何なのか分からなくなり、身の危険などが発生する場合も。
そのため、私たちは自分の求める情報だけが入ってくるようになっています。
入ってくる情報は、その人が普段から意識しているということでもある。
誰もが意識するポイントは違ってくる
誰もが生まれも育ちも、学んできた知識や得てきた情報も違うため、自分なりの思考をそれぞれ持っています。
Aさんは気になるけど、Bさんは気にならない。
たとえば道路ですれ違う人を、自分の知り合い以外でなければ気にしないのと同じで、無関心か関心があるかの2択になっています。
炎上を引き起こされた発言には特徴がある
ニュースで流れていた情報、またはTwitterなどSNS上で見た発言など、日常的に得られる多くの情報は、自分にとって関係ない他人事の情報となります。(いちいち反応していてはキリがないですよね)
しかし、その中でも普段からの思考に引っかかる、意識している自分事の情報が入ってくると、一気にその情報に対して意識が向けられて考えることを始める。
それでも感情が動かないような情報であれば、そのまま把握して素通りなのに、2つの感情によってその後の行動が変わってきます。
ポジティブな感情発生
➡みんなにも知ってほしい、自分の好きなことを共有したい
➡苦言を言いたくなる、何か物申したくなる、自分の正義を執行したい
ポジティブな自分事になれば、受け取った情報に対して自分なりの「幸」を加えて、周りに広める。
しかしネガティブな自分事になれば、受け取った情報に対して自分なりの「負」を加えて、周りに広めます。
つまり、炎上騒ぎが引き起こされた発言・情報とは、誰かの「負」を呼び起こす内容が含まれているということ。
普通なら自分が関わらない、まったく赤の他人の発言なんて気にもとめないのに、いざ自分事に感じる情報が入り「負」を感じると、その嫌な感情を解消しようとして、「吐き出す」といった形の行為が発生。
いきなり炎上するのは、その発言者とは無関係なのに、誰かの強烈な負を刺激してしまう、さらには同じような気持ちを抱えている方が多いのが発生理由だと言えます。
炎上が発生する理由は価値観の大きなズレ
なんでも価値観のズレを理由にするのはよくないですし、そもそも誰もが独自の価値観を持っているため、意見や考え方が違うのは当たり前。
しかしながら、まだ微妙な開きであればいいものの、価値観に大きな開きを持っていると、炎上しやすくなります。
例:時代の変化(過去の価値観からアップデートされていない)
昭和時代➡出社は絶対
令和時代➡リモートワークもOK
例:価値観が変化している人の割合
昭和時代➡出社が当たり前だと思っている人がほとんど
令和時代➡出社に疑問を感じて在宅への意識が多くなってきた
たとえば、このような状態の中で「うちの会社は出社100%を目指しています!」とTwitterなどで発言したら、「ブラック会社の理屈だよね。」などと、強い反発が生まれるのは必須。
価値観のズレが発生しやすい原因は、まだ他にもあるため、次で詳しく見てみましょう。
SNS炎上が発生する原因
炎上を意図的に起こしている方も中にはいますが、炎上しないに越したことはありません。(私は絶対にしたくない…)
しかし、ここまで「匿名」で「発言」がしやすく、さらに「繋がりやすい」状況がSNSで作られてしまっているため、誰もが炎上を起こしてしてしまう火種を抱えていると言えます。
まずは、どんな発言・情報だと炎上になってしまうのか、原因を見ておきましょう。
狭い閉鎖的な世界でSNSを捉えてしまう
たとえばTwitterは数千万人が使っているSNSですが、全員が全員と繋がっているわけではありません。
毎日いいねをする人や、見たい発言を自分で選んでみている関係で、自分が求める情報だけが増えていく狭い世界が構築されていきます。
しかし、普段繋がっていない方でも、何かの拍子で繋がってしまう場合も多い。
プライベートな狭い空間だと思い込み、外部からの繋がりはないものだと考えていると、突如現れた方にかき乱されることがしばしば起こります。
かりそめの自己実現が多い
よく炎上が起こるパターンの1つに、他者・自社・他社のブランドを間借りすることで、本来の評価とのギャップが生まれてしまうこと。
- 企業のブランド名をプロフィールに載せておく
- 権威者との繋がりをよくアピールする
たとえば有名な大手企業さん、スタートアップの社名をプロフィールに載せておくと、ブランドの価値を通して個人を見てもらえるので、信用が得やすい。
他にも、社長さんや有名人との繋がりをアピールしても同じく、その人の評価を間借りすることで、自分の評価を高めることもできる。
ブランドの評価を間借りしていると、普段からいいね・リツイート・フォロワー数向上など、自分を肯定してくれる情報が増えていき、どんどん自己肯定感が高まって自己実現へと向かっていきます。
しかし、他者・自社・他社のブランドを間借りした自己実現は、本来の得られるはずの評価ではなく、あくまでも借りている側のかりそめの評価(自己実現)。
どんどん自分の正しさが評価されていると錯覚して、相手への配慮が欠けていくことで、誰かの「負」に強烈な刺さる一言が出てしまう場合もあります。
ブランドの間借り&本名はダブルパンチを受けやすい
ブランドの間借りの効果は、誰もが知るところですが、そこに本名が加わるとさらにやっかいになります。
運用しているアカウントが本名の場合、いいね・リツイート・フォロワー数向上など発生していると、さらにかりそめの自己実現が達成されやすい。
自己肯定感MAXの状態だと、自分の発言は正しいものだと錯覚して、他人との価値観と大きくズレていきます。
最近よく見かけるのは、企業の人事部所属の方が運用している本名入りのTwitterアカウントでの炎上。
これも、かりそめの評価を自己評価だと錯覚することで、生まれている側面があります。
経験が浅い人事担当者、またはブランドを背負った発言であることを認識できてない人に炎上が多いかもしれません。
「自分の当たり前」は「相手も当たり前」だと思っている
みんなそれぞれ、自分の当たり前を持っています。
Aさん:上司は部下に御飯を奢るのが当たり前
Bさん:ランチに行ったら別々会計が当たり前
このように、自分の中の当たり前を誰もが持っていますが、他の意見は一切存在しておらず、自分の考えには「絶対的な正しさ」があると考えている方は炎上しやすい。
発言を受け取る側には、色んな考え・意見を持っている人がいること、または自分の発言に対して否定・拒否する人がいることを意識する想像力に欠けてしまっている。
もちろん肯定してくれる方はいますが、否定したり考えに賛同できない人だっているのに、自分の意見や発言が正しいなんて証明することは不可能。
当たり前のことは何一つ存在しておらず、他者への配慮を意識することが大切です。
自分の立場でしか発言できない人は相手に不快を感じさせやすい
会社であれば社長・部長・課長などの役職、コミュニティであれば先輩や運営主など、自分がどんな立ち位置にいるか理解するシーンは多いと思います。
たとえば社内でずっと役職持ちだった方は、それが当たり前だと思って、ついつい命令口調になったり、部下をこき使うような発言をされてしまう人もいますよね。
しかし、役職者から見る社内の景色と、部下から見る社内の景色は違っていたりするので、そのズレに気づかないまま発言していると、部下からは「使えない上司」または「敵対する上司」とネガティブな烙印を押されてしまう。
人それぞれ立場が違い、立場の違いによって意見や考え方も当然違ってくる。
自分の見え方だけで発言すると、受け取った相手は不快に感じやすいため、炎上にまで発展する場合もあります。
「負」の感情を呼び起こさせる発言になっている
ほとんどの人が意識できていませんが、私たちはみんな、自分自身の現在の感情フィルターに通されて、言葉を表現しています。
状況例:採用面接シーンにて求めていた求職者さんと出会えなかった
× 今日面接した人、ほんとうにクソだった。
◯ ステキな方とお会いできた。こういう方が会社を良くしてくれる方なんだなと。
どうでしょうか、×と◯の例で、大きく受け取る側の印象が変わってきますよね。
×の例でツイートをするものなら、裏でこんな事言われていると思った求職者さんは悲しいですし、今後この企業さんの面接を受ける方も応募を辞めたくなるかもしれません。
無理して嘘をついてまで良いことを言えばいいのではなく、誰かの「負」の感情に深く刺さってしまうと、反発を生むということ。
もっと簡単に言えば「届く可能性のある誰か」への配慮に欠けている。
人間誰もが持っている「負」をむやみに刺激することで、何か一言いいたくなってしまいますし、正義感からか否定を拡散しようとする人も出てくる。
都合の言い切り取られ方をしてしまう
みんな、自分事に感じるキーワードを、それぞれ持っています。
何てことのない文章だったとしても、ある一部分だけを切り取られて、誰かに都合のイイ解釈を当てはめられてしまい、攻撃されてしまうことも。
誰だって起こりうることですが、通常だったらわざわざ指摘しようとは思いません。
わざわざ一部分を切り取られて、何か言われてしまう方は、普段から相手の負を刺激している可能性もあるため、日常的なSNS上での発言が原因の場合もあります。
説明が不十分
画像主体のInstagram・動画主体のTik Tok・文章主体のTwitterなど、SNSにはそれぞれ特徴があります。
発信方法によっても伝えられる情報量に大きな違いがあって、
情報レベルを10と仮定
文章:1(テキストのみで1つ説明するにも大量の文字が必要)
画像:6(画像内に絵として多数の情報が入れられる)
動画:10(視覚・聴覚から大量の情報を入れられる)
とくに炎上しやすいのはTwitterの文章を基本としたコミュニケーション。
Twitterは1投稿内に140文字しか入れられないので、簡潔または省略して情報を入れなければいけません。
そうすると、本来十分な説明が必要な情報も、一部分しか伝えることができず「この人分かってない」「え、今更そんなこと言うの?」など、分かっていない私の方が分かっているという方から批判が届きやすい。
発信するテーマによって、発信方法を変えないといけないのに、そこを分かっていない方は炎上を必然的に生み出しています。
匿名性
Facebookは実名ですが、Twitter・Instagram・Pinterest・Tik Tokなどは匿名での投稿が可能です。
匿名性の強いSNSは、自分のことを晒さずに自由な発言ができるため、リスクが小さいと思っている方も多い。
「誰だか分からないだろう」と強気になることもあり、発言がエスカレートしている場合もあるほど。
匿名性によっては、過激な発言がされやすい環境がSNSにはあるため、炎上の巻き起こすキッカケは誰にでも存在しています。
SNSで炎上を起こさないためのルール作り
SNSは個人だけでなく、法人が売上UPやお客様とのコミュニケーションの場として、積極的に取り入れています。
しかし、あなたも知っている通り、炎上が跡を絶ちません。
回避できるなら回避しておきたいので、改めてSNS運用ルールを考えてみましょう。
下記は私が気をつけている項目をまとめたものです。
① 1対多を意識
② 立場の違いを理解
③ ネガティブ要素を排除
④ ブランドを借りている認識を持つ
⑤ 誰のための発言なのか
それぞれを詳しく見ていきます。
① 1対多を意識
一度発信した内容は、不特定多数の誰かに届くことを予め意識します。
たとえフォロワー数が少なくても、何かのキッカケで自分の発信が誰かの目に留まることもある。
必ず1対多であることを考えると、発言前に一旦立ち止まって考えられ、リスクを少なくしてくれます。
② 立場の違いを理解
発信側も、発信を受け取る可能性のある方も、それぞれ立場・環境・状況が違います。
その状況だからこそ言えることって沢山ありますよね?
しかし、受け取る側は、その立場・環境・状況を実際に体験していないため理解できないことの方が多い。
自分の状況だけで考えず、相手の状況も意識して発言内容を考えていきます。
③ ネガティブ要素を排除
ネガティブな要素は、受け取り側の「負」を刺激して、思いもしない方向へ発展することもあります。
極力マイナス感情を発生させる書き方・単語は避けて、文章化をしていく。
分からなくなったら、「これを自分に対して言われた場合はどうなんだろう?」と自問自答を繰り返して頂くのもオススメです。
④ ブランドを借りている認識を持つ
個人でSNSをやっている場合はまだいいですが、会社の看板を使わせてもらい発信するなら、自分の評価ではなく会社の評価で、自分の評価が底上げされている意識を改めて持っておきましょう。
ブランドを使わせてもらっていながら「個人の見解です」は、もはや通じない世の中。
すべて紐付けられて見られてしまうので、ブランドを間借りさせてもらう場合は、ブランドに傷がつかないように慎重さを忘れない。
⑤ 誰のための発言なのか
SNSは、自由に情報発信できる場でもあるため、そのまま感情で投稿してしまう場合もあるかと思います。
しかし、その発言によって「誰」に「何」を感じてもらいたいのか。
特に法人アカウントの場合は、単なる独り言ではなく、結果的に自社のブランドへ引き込みたいからこそアカウントを運用しているはず。
お客様または今後お客様になってくれる可能性のある方々に対して、より良い情報発信ができているかを改めて考えましょう。
最後に。
Twitterでの炎上騒ぎは頻繁に見かけます。
そのどれもが、自分都合だったり発信内容が届く可能性のある方々を、ないがしろにした表現によって炎上へ発展。
どんなに繋がりやすい便利な世の中になったとしても、向こう側には必ず誰か「人」の存在があることを意識して、配慮あるツイートをして頂くのがオススメです。
炎上を起こしたくなくて、無難な発言しかできなくなるのは、もったいない。せめて運用ルールを作って最低限のリスク低下処置をしながら楽しんで、SNSを行っていけると良さそうですね。著者:osugi(@osuuuugi)